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麻雀の考え方

評価の仕組みが変われば、選択も変わる

評価の仕組みが変われば、選択も変わる
ニコラスの写真

天鳳の鳳凰卓や雀魂は、ラスだけが大きなマイナスになる。だから、ラスを引かないことが大切。Mリーグは、トップの順位点が+50。勝ち切るために、リスクを取る価値が高い。同じ麻雀でも、評価の仕組みが違えば、選択の優先順位も変わってくる。

麻雀は、同じ牌を使い、同じ役で和了るゲームです。それでも、どこで打つかによって「良い一打」の基準は変わります。その違いを生んでいるのは、技術の差というより、成績のつけ方の差です。今回は、そこから考えたことを書いてみます。

天鳳の鳳凰卓は、ラスが重い

天鳳の段位戦では、段位のポイントはゲームの得点ではなく、順位だけで決まります。公式のマニュアルによると、鳳凰卓の東南戦では次のとおりです。

3着ならポイントは減りません。一方でラスを一回引くと、七段でもトップ1.5回分、十段ならトップ2回分が一気に消えます。しかも、トップを取るときの点差は関係ありません。5万点のトップも、100点差のトップも同じ+90です。

この仕組みの中では、ラスを引かないことが何より大切になります。たとえば、オーラスに3着目で、ラス目との差がわずかな場面。満貫をアガれば2着に上がれる手でも、七段なら2着に上がって増えるのは45ptで、ラスに落ちて失うのは135ptです。危険牌を押して放銃すればラスに落ちる場面なら、無理に押さずに3着を守るのが合理的な選択になることが多いです。

私も2018年に鳳凰卓に上がり、この仕組みの中で打ってきました。雀魂の段位戦も、上の部屋に行くほど、3着とラスの減点の差がとても大きくなります。天鳳や雀魂の段位戦は、「ラスを引かない人」が上に行きやすいようにできていると言えます。

Mリーグは、トップの価値が大きい

Mリーグのルールは、25,000点持ちの30,000点返しで、順位点は1位+50、2位+10、3位▲10、4位▲30です。終局時の持ち点と30,000点との差も、1000点=1ポイントとして成績に加わります。(Mリーグの公式ルールより)

並べてみると、違いがよく分かります。

順位天鳳 鳳凰卓(東南戦・七段)Mリーグ(順位点)
1位+90+50
2位+45+10
3位±0▲10
4位-135▲30

天鳳では、3着とラスの間に大きな崖があります。Mリーグでは、いちばん大きな差はトップと2着の間(40ポイント)にあり、3着とラスの差は20ポイントです。さらに素点も成績に入るので、大きく勝つことにも意味があります。

そうなると、同じオーラスでも考え方が変わります。たとえば、2着目で、トップまで満貫が必要な場面。天鳳なら、トップと2着の差は45ptしかありませんが、2着とラスの差は180pt(七段の場合)もあります。危険を冒すより2着で終わるのも立派な選択です。Mリーグなら、トップと2着の順位点の差は40ポイントで、2着とラスの差も同じ40ポイントです。得るものと失うものが釣り合っているので、多少のリスクを取ってでも勝ち切りにいく価値が上がります。

どちらが正しい麻雀、という話ではありません。評価の仕組みが違うから優先順位が変わる、それだけのことです。だからこそ、天鳳で強い人の打ち方をそのままMリーグのルールに持ち込むと、ずれが生まれることがありますし、その逆もあります。

仕事も似ている

この話は、仕事にもよく当てはまると思っています。

挑戦が評価される会社もあれば、失敗しないことが評価される会社もあります。新しいことに挑んで大きな成果を出した人が評価される職場では、多少の失敗は「トップを狙った結果のラス」として受け止めてもらえます。反対に、ミスなく確実にこなすことが何より大切な職場では、一度の大きな失敗が、それまでの積み重ねを消してしまうこともあります。天鳳のラスと同じです。

安定して信頼できる仕事が求められる場面もありますし、挑戦がなければ前に進めない場面もあります。どちらの評価のしかたにも、麻雀のルールと同じように、それぞれ理由があります。

どう頑張るかの前に

だから私は、どう頑張るかを考える前に、何が評価される環境なのかをまず知っておきたいと思っています。

麻雀なら、初めて打つ大会や雀荘では、まずウマやオカの有無と、その大きさを確認すること。ルールが分かれば、押すべき場面と引くべき場面の基準が見えてきます。仕事なら、その場所で評価されている人がどんな動き方をしているのかを見ること。頑張る方向がずれたままでは、どれだけ努力しても報われにくいからです。

自分に合った仕組みを知る

そのうえで、自分のスタイルに合った評価の仕組みを知っておくことは、長く続けるうえで大きな助けになると思います。

ラスを避けながら丁寧に積み上げるのが得意な人もいれば、リスクを取ってトップを取りにいくほうが力を出せる人もいます。ルールに合わせて打ち方を変えることはもちろん大切ですが、ずっと自分の性格に合わない打ち方を続けるのは、なかなかしんどいものです。

自分に合った評価の仕組みの中にいれば、無理をせずに力を出せますし、続けることも苦になりません。そういう環境は、きっと長期的な幸せにつながると思います。


2026年10月16日の投稿をもとに、加筆してまとめました。(元の投稿)


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